認定医申請について

腎移植認定医制度の発足とその意義

日本臨床腎移植学会 理事長 高橋公太

 このたび、日本臨床腎移植学会は腎移植における質の向上をめざすために、腎移植の認定医制度を発足させました。ここ至るまで、各評議員に認定医制度のあり方やその存在の意義を問うためにアンケートを採りましたところ、前向きの意見をいただき、ほぼ全員の賛成がえられました。理事会ではこれらの貴重な意見を繰り返し検討し、その意向を集約、反映させ、認定医制度の案を作成しました。さらに2007年の総会にてこの認定医制度を重要議題として取り上げ、その賛否を採ったところ圧倒的多数で賛成が得られております。

「腎移植認定医」を望む背景には、いくつかの要因が挙げられると考えられます。

腎移植が年間1000例を超え、今後さらに症例数の増加が見込まれる現在、それに伴い当然、安心して腎移植の手術が受けられ、周術期の管理、免疫抑制療法や感染症の予防対策などに精通した医師がその施設にいることが社会から要望されています。

また、免疫抑制療法の進歩により成績は飛躍的に向上したことは事実でありますが、さらにQOLの高い長期生着が望まれています。すなわち、移植腎が着くとか着かないかの時代から、着くのが当たり前の時代になり、移植医療そのものの質が問われるようになってまいりました。たとえば、移植後の合併症をみても、術式がほぼ確立され、免疫抑制療法の向上により拒絶反応が抑制され、移植患者の長期生着えられるようになるにともない、合併症にも変遷が見られ、外科的合併症より内科的合併症が多くなっております。移植後、健常人と同様に糖尿病、高血圧症、動脈硬化症、脂質異常症、メタボリック症候群、および悪性腫瘍などの生活習慣病の発生が多くなり、外来フォロー・アップもよりきめの細かい治療が要求されるようになっています。さらにその管理しだいによっては患者の予後のみならず、移植腎の生着にも大きな影響を及ぼすことが明らかになっています。

小児例においても以前から腎不全に起因する成長発育障害をいかに腎移植によって克服するかという大きな課題があり、いまだ検討の余地が残されています。

これらの問題点を解決するには外科医や泌尿器科医のみではもはや対応しきれず、必然的に内科医、および小児科医の積極的な参加と協力が望まれます。

さらに周知の通りわが国で腎移植の普及が遅れている背景には、献腎提供がて極めて少ないことが第一の要因としてあげられます。本来、腎移植の王道は献腎移植であり、そのためにもDonor Action(臓器提供推進活動)に積極的に参加するモチベーションの高い医師が要求されます。

また、一方では、国内外で臓器の売買問題などの倫理問題も持ち上がり、社会に大きな影響を及ぼしています。このような背景から社会や国民がより幅の広い腎移植の知識を持ち、さらに高い倫理観を持った医師の育成を求めている現状を鑑み、ここに認定医制度を発足させることに至りました。

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